Movable Type 7 に期待すること

先月、Movable Type 6.2 がリリースされました。

リリースノートを見てみるとわかりますが、待望の「アイテムマルチアップロード」以外にもさまざまな細かい点が改善されています。

CMSの機能として見ると Movable Type 6.0 がリリースされた時より実用的な変化が大きく良いアップデートであったのではないかと感じています。

Movable Type 6.2 リリースノート : Movable Type 6 ドキュメント

Movable Type 6.2.2 リリースノート : Movable Type 6 ドキュメント

6.2 というリリースナンバーを見るとそろそろ 7.0 の背中が見えてきます。MT4系もMT5系も共に国内では4.2.x、5.2.xが最終リリースだったのがその理由です。

Movable Type のプロダクト・ライフサイクルポリシーについて - MovableType.jp - CMSプラットフォーム Movable Type -

前置きが長くなりましたが、期待も込めて「Movable Type 7 に期待すること」を挙げていきたいと思います。

バージョンアップ用のサポートツール

セキュリティ事情が騒がれることが多い昨今、CMSのバージョンアップへの関心の高まりを感じます。

Movable Typeのクラウド版では自動バージョンアップ機能が、AWS版ではyumアップデートが提供されていますが、ソフトウェア版には現状では手動のバージョンアップ以外に方法がありません。

ソフトウェア版には各々制作会社の事情もあると思うので自動バージョンアップとまでは言いませんが、最新版との差分マージがもう少し楽になるサポートツールが欲しいです。

より柔軟な権限管理

MTの権限管理は他のブログベースのCMSと比較するとかなり強力なものです。ただ、以下の二点が気になっています。プラグインで拡張可能な部分ではありますがコア部分により柔軟な権限管理が欲しいです。

権限の指定がウェブサイト・ブログ単位

サイト構造においてはブログ分けの必要が無い場合でも権限を詳細に設定したい場合はさらにブログ分けが必要になってしまいます。

アイテム管理の権限範囲が広すぎる

現状のアイテム関係の権限だと「ファイルアップロード」と「アイテムの管理」、「画像に関する既定値の設定」の三つしか無いため、「アイテムの管理」権限まで付与すると他ユーザがアップロードしたアイテムまで変更・削除が行えてしまいます。

新しいダイナミック・パブリッシング

Movable Typeは静的CMSとして有名ですが、ファイルを動的に生成することも可能でこの機能のことをダイナミック・パブリッシングといいます。

最小単位ではテンプレート単位で静的生成か動的生成かを選べるため、サイトの中でここはアクセスが多いから静的、ここは変更することが多いから動的、と柔軟に出力方法を選択することが可能です。

また、MTのテンプレート言語であるMTMLでテンプレートを記述すると自動で静的出力の場合はPerl、動的出力の場合はPHPで処理がされるので出力方法ごとの書き分けの必要はありません。

...ここまで書いた内容だと「なんて柔軟なCMSなのか!」と思うかもしれません。

しかし、実際に使ってみると色々と問題が見えてきます。
以下のような問題に実際に何度も遭遇し、次第に動的生成を避けるようになってきました。

ダイナミック・パブリッシングを使っていて困ること

  • ダイナミックだと動作しないタグがある
  • スタティックと挙動が違うタグがある
  • 同じ処理なのに動いたり、動かなかったりする(書く位置を変えると治ったりする)
  • 設定した変数が突然クリアされるときがある
  • 非対応プラグインが多い
  • キャッシュが使えないケースだとレスポンスに難がある

ただ、昨今のWebサイト制作では動的処理が必要になってくる部分はどうしても多いので、もう少し安定して動き、スタティックと同じ挙動をする新しいダイナミック・パブリッシングの仕組みが欲しいです。

最後に

Movable Typeは自分のWeb仕事歴とほぼイコールな付き合いの長いCMSです。

好きになったり、嫌いになったり、そしてまた好きになったりを繰り返していますが、今のところ用途さえ合えば一番自信を持って薦めることのできるCMSです。

リリースは大分先だと思いますが、Movable Type 7がどう変わるのか、楽しみです!