CMS屋さんのこだわり

私自身、長年のMovable Typeユーザで10年近く同じCMSを使い続けています。

CMSの設計から構築までを担当することが増えてきており、最近ますます「CMS屋さん」になってきたことを実感しています。

最近はWebエンジニアからテクニカルディレクターになり、構築のみをやっていたころと比べると、実際に客先に行って話を聞きながら進めることができるので、より現場で必要とされるものがつくれるようになった気がしています。

そんな「CMS屋さん」のこだわっているところを少し書いてみようと思います。

前提として、CMSは人が触るもの です。 そのため、「どんな人が」「いつ」「どんな環境で」使うのかを作る側はよく知っておく必要があります。

何で作るのか、どうやって作るのかをつい考えがちですが、誰のために作るのか、を考えることが使いやすいCMSを提供するコツだと考えています。

例えば、そこまでパソコンが得意でない方が使う場合にはあえて機能を絞ることが優しさであったりします。ただその方もいつまでも初心者ではないので、将来的にはさらに自由度が欲しくなる可能性もあります。

実際に私がCMSを導入する時にこだわっていることをまとめました。

わかりやすいこと

  • マニュアルを読まなくても操作方法が分かること(目標)
  • 管理画面上に不必要な項目がないこと
  • 公開側と管理画面側の入力項目の順序が揃っていること
  • 入力項目のラベルが適切なこと

手に馴染むこと

  • 操作に違和感がないこと
  • 使っていてストレスがたまらないこと
  • 入力する際に適切な補助があること(無理なルールがないこと)

使い続けれること

  • 毎日使ってもつらくないこと(使いたいと思われること)
  • さまざまな使い方がされても壊れないこと
  • 操作を覚えていくとできることが増えること

CMSをせっかく導入するからにはできるだけ長い間使い続けてもらいたいと思います。

すべての人にとって最適なものを作ることは難しいですが、こだわりを常に意識しつつ、CMSを入れて良かったと思われるような提案を今後も続けていきたいと思います。

短期ではなく、長期を考える

これはCMS設計だけに限らずサイト設計、CSS設計などにも関わりますが、 サイトの平均寿命と言われている3年〜5年の間、サイトが壊れずに、 存続できる方法を考えます。

CMS設計を行う際にはワイヤーフレームやサイトマップを元に設計を 起こしていきますが、現在のデータ量や配置だけに目を向けるのではなく、 「3年後どうなっているだろう?」、「ここを改修したいと思うのでは?」と できるだけ様々な事態を想定して、設計を行うことを意識しています。

CMS設計とCSS設計で似ているところではありますが、目先だけを見た 改修が後々負債となることが非常に多いです。

データの再利用性を考える

コンテンツは資産です、と言われることがあります。 その割に大きなコンテンツが一つのリッチテキストエリアに HTMLデータとして入っている状況をよく見かけます。

HTMLとしてコーディングされたデータは無駄なデータが非常に 多く含まれており、再利用性はほとんどありません。

ここは自由度とのトレードオフではあるので難しいところですが、 後々流用したくなるようなデータを見かけた時はなるべく個別の フィールドに分けれるような設計にできないかを考えます。

次回のリニューアルを考える

次のリニューアル時に同じCMSを使い続けて貰えるとは限りません。 もしCMSを変えることになった場合はデータ移行の必要が出てきます。

データの保存をする際にあまり無理をすると一括でデータの移行が できない問題が起きます。そのため、プラグインの導入やオリジナルの 入力欄の開発等を行う時は「このデータは将来的に移行できる形か?」と 自問自答しながら進める必要があります。